2015/3/2

5-アミノレブリン酸とカシスエキス配合食品摂取による手指および手背皮膚温の改善作用の検討

機能性食品と薬理栄養, 8巻6号p.539-p.548

≪研究内容の紹介≫
 近年、冷暖房設備の普及に伴う寒冷環境に対する適応力低下により、冷えを訴える人が増加しています。末梢循環不全や自律神経活動低下が主因と考えられる冷え症は、日常生活の質を著しく低下させるため、その対策は大きな課題となっています。

 本論文において、5-アミノレブリン酸【*1】リン酸塩(5-ALA)とカシス【*2】エキスパウダー(松浦薬業)を配合した食品(配合食品)が冷え症に対して有効であるとの仮説を立て、女性を対象に冷水負荷とサーモカメラによる測定を組み合わせた試験を実施しました(クロスオーバー試験【*3】)。尚、配合食品摂取が有用性を示すかは、冷水負荷前後の手指および手背皮膚温を経時的に測定することにより評価しました。また、調査票による冷え症判定を行い、配合食品摂取が冷え症判定者に対して有用性を示すか検討しました。

 結果、5-ALA、カシスエキス配合食品を摂取した場合、プラセボ【*4】摂取時と比べ、末梢部位体温の回復を促進しました。その作用機序は末梢部位の血流改善と、エネルギー代謝亢進およびUCP産生増加に伴う体温上昇作用によると推察されました。加えて、配合食品の末梢部位温度上昇作用は、冷え症判定者に対して強く発現する可能性が示唆されました。

 以上の結果より、5-ALAとカシスエキスを配合した食品は、冷え症に対して有効であると考えられました。

*1 すべての動植物に存在しており、ヘムやクロロフィル等の前駆体として重要なアミノ酸の1種です。
  近年、5-ALAの有用性に関する研究が精力的に行われています。

*2 ポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含んでおり、
  抗酸化作用や血流改善作用が報告されています。

*3 同一人物が偽被験食(プラセボ)と被験食を時期をずらして摂取し評価する試験です。

*4 被験食に似せた食品です。

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