2013/04/22

色素沈着を抑制する生薬エキス末、 紅景天エキス末R

COSMETIC STAGE, 3(2), 51-54

≪研究内容の紹介≫
紅景天は、ベンケイソウ科の高山植物イワベンケイ(Rhodiola rosea)の根及び根茎を乾燥したもので、滋養強壮効果が期待される天然素材です。紅景天エキス末Rはこの高山植物をもとに作られたエキスであることから、紫外線照射に対する生体防御物質を多く含有していると考えられ、私たちはこれらの成分がヒトの紫外線防御においても有効に働くのではないかという仮説を立てました。そこで本報告では、紅景天エキス末Rの紫外線照射による色素沈着の抑制作用について検討しました。
はじめに紅景天エキス末Rの色素沈着に対する予防効果を検討するため、9日間マウスにエキス末を投与しその1時間後に紫外線を照射、実験開始10日目に耳介皮膚のDOPA陽性メラノサイト(メラニン合成が活発なメラノサイト)数を計測しました。紫外線照射によりDOPA陽性メラノサイト数は著しく増加し、紅景天エキス末Rはこのメラノサイト数増加を用量依存的に抑制しました。
次に、黒色メラニンの生成を抑え肌色メラニン産生を促進するグルタチオンへの効果を正常ヒト表皮メラニン細胞において検討した結果、紅景天エキス末Rはグルタチオン産生量を用量依存的かつ有意に促進させました。また、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去能におけるエキス末のIC50値は、ブドウ種子、カシスといったラジカル消去能の高いことが知られている素材と同等の値を示しました。
以上の結果より、紅景天エキス末Rはメラノサイトの色が濃くなることを防ぎ、フリーラジカルによるDNAや細胞の損傷を阻止し、紫外線照射による日焼けを予防することが示唆されました。また今回、陽性対照薬として用いたアスコルビン酸ナトリウム、L-システイン併用群と比べ高い有効性を示し、美白効果を期待できる有用な機能性素材であると考えられます。

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