2013/03/27

肥満対応素材としての荷葉 〜荷葉エキス末の抗肥満効果〜

New Food Industry, 45(5), 41-48(2003)

≪研究内容の紹介≫
荷葉はスイレン科のハスNelumbo nuciferaの葉を乾燥したもので、中華人民共和国薬典にも収載され、主に解熱、止血などに用いられています。また、近年肥満や美容に関する中国書籍の中では、荷葉が肥満に対して用いられる中医方剤の構成生薬の一つとして紹介されています。そこで、私たちは荷葉に注目し、肥満対応生薬素材として食品原料の荷葉エキス末を開発しました。今回の報告では、このエキス末の肥満に対する効果について薬理学的に検証しました。
In vitro試験では、消化吸収阻害作用、脂肪分解作用について検討しました。荷葉エキス末は、α-アミラーゼ(炭水化物分解酵素)とリパーゼ(脂肪分解酵素)の活性を阻害し、さらに3T3-L1成熟脂肪細胞からの遊離グリセロール量を増加させました。またマウス筋管細胞では熱産生タンパク質であるUCP3のmRNA発現を増強させました。
In vivo試験では、ラットへのオリーブ油負荷試験を行った結果、血漿中トリアシルグリセロール(TG)値の上昇を抑制しました。また、高脂肪食負荷肥満モデルマウスに回転かご運動を負荷した評価系では、荷葉エキス末投与により回転かご運動負荷だけでは見られなかった体重と子宮傍脂肪組織重量の増加抑制が認められ、肝臓中TG値の上昇も抑制しました。
以上の結果より、荷葉エキス末は消化吸収抑制作用、脂肪分解作用、運動による抗肥満効果の補助作用を示し、肥満対応生薬として期待され得る素材です。

ホームへ先頭へ前へ戻る