2017/8/17

2型糖尿病治療を指向したジコッピの有用性と機序の解明

第34回和漢医薬学会学術大会(2017、福岡)

<特許出願済み>
≪研究内容の紹介≫
ジコッピはクコの根皮で、神農本草経には効能の一つとして消渇(糖尿病への効果)が記されています。これまでに薬物誘発1型糖尿病モデルを用いたin vivo試験で効果が報告されているものの、科学的証明は今日においても未だ不十分です。そこで本研究では、2型糖尿病に対するジコッピの有用性を検証しました。

2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスにジコッピエキスを12週間飲水投与し、血糖値と血清インスリン値を経時的に観察しました。Control群の血糖値は試験開始後から上昇したのに対し、ジコッピエキス投与群では試験開始時の数値を維持しており、血糖値上昇抑制作用が確認されました。血清インスリン値は、Control群では始め上昇しましたが、その後低下していき、膵臓疲弊による分泌低下が考えられました。一方、ジコッピエキス投与群は高い血清インスリン値を維持していました。

また、ジコッピエキスはマウス筋芽細胞株C2C12において糖の取り込みを増加させたことから、骨格筋における糖取り込み促進作用が血糖値上昇抑制作用の作用機序の一つであることが示唆されました。加えて、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7においてNO産生抑制作用を示したことから、抗炎症作用を示す可能性があり、脂肪組織の慢性炎症を抑制することによりインスリン抵抗性の改善にも期待できると考えられました。

以上より、ジコッピエキスは糖代謝改善に有用であると考えられ、2型糖尿病に対して有効な素材であることが示唆されました。

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