2018/9/20

紅景天エキスの紫外線誘導性色素沈着に対する抑制効果

日本未病システム学会雑誌 Vol. 24 No.2 p.1-7

<特許出願済み>
≪研究内容の紹介≫
 紫外線は人体に与える影響が大きく、例えば、日焼けやシミ、くすみといった色素沈着による容姿に対するものや皮膚ガンのように生命をおびやかすようなものが挙げられます。今回私たちは、高山植物である紅景天(Rhodiola rosea)は紫外線に対するファイトアレキシン(※1)を多く含有している可能性が高いと考え、紅景天の経口摂取が紫外線による皮膚障害に対して有用性を示すという仮説を立て、検討を行いました。

 In vitro試験では、紅景天エキスはメラニン生成に関与するチロシナーゼ活性阻害作用、及び抗酸化作用の検討において、陽性対照としたアスコルビン酸(ビタミンC)と同程度の強い活性を示しました。また、正常ヒト皮膚角化細胞を用いて紫外線に対する保護作用を検討したところ、UVB照射による細胞生存率の低下を濃度依存的に抑制しました。

 In vivo試験では、マウスに9日間UVBを照射した後、10日目に耳介表皮を摘出しDOPA染色を行いました。紅景天エキスをUVB照射1時間前に投与した結果、UVB照射によるDOPA陽性メラノサイト数(※2)の増加を有意に抑制しました。また、予め2週間UVB照射したマウスに対する紅景天エキス投与は、DOPA陽性メラノサイト数の減少を促進しました。

 紅景天エキスはチロシナーゼ活性を阻害することでメラニン生成を抑え色素沈着抑制作用を示し、また、紫外線誘発細胞傷害に対して保護作用を示しました。これより、紅景天エキスは美白だけでなく肌の保護作用を併せ持つと考えられ、紫外線に対して経口摂取で有効な機能性素材であることが明らかとなりました。

※1 ファイトアレキシン…植物が様々なストレスに対して生合成する防御物質
※2 DOPA陽性メラノサイト…活発にメラニン合成を行うメラノサイト

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