2021/3/31

Hypoglycemic Activity and the Mechanisms of Lycium Bark Extractin db/db Mice(db/db マウスに対する地骨皮抽出物の血糖降下作用とメカニズム)

Biological & Pharmaceutical Bulletin, 43 (6), 956-960

<特許出願済み>
≪研究内容の紹介≫
 ナス科クコの根皮であるジコッピは、効能の一つとして消渇(現代における糖尿病への効果)が記されている。これまでに薬物誘発1型糖尿病モデルを用いたin vivo試験で効果が報告されているものの、科学的証明は今日においても未だ不十分である。そこで本研究では、2型糖尿病モデルのdb/dbマウスを用いて、ジコッピの有用性を検証した。

2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスにジコッピエキスを12週間飲水投与し、血糖値と血中インスリン値を経時的に観察した。Control群の血糖値は、試験開始後から上昇したのに対し、ジコッピエキス投与群では試験開始時の数値を維持しており、血糖値上昇抑制作用が確認された。血中インスリン値は、Control群では始め上昇し、その後低下していったのに対し、ジコッピエキス投与群は高い血清インスリン値を維持していた。
加えて、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7においてNO産生抑制作用を示した。

また、ジコッピエキスはマウス筋芽細胞株C2C12において糖の取り込みを増加させたことから、骨格筋における糖取り込み促進作用が、血糖値上昇抑制作用の機序の一つであることが示唆された。骨格筋特異的なグルコーストランスポーターであるGLUT4のmRNA発現量は変化がなく、多くの組織で発現しているGLUT1の発現が有意に上昇していた。

以上の結果より、ジコッピはGLUT1発現量上昇により骨格筋などへの糖取り込みを促進させることで血糖値を下げ、2型糖尿病の病態であるインスリン分泌の低下も改善した。また、抗炎症作用を示しインスリン抵抗性の改善も期待される。

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